2015年の介護報酬改定によってデイサービスの在り方の見直しが進められ、認知症が深刻な方や重度の要介護状態の方を受け入れる体制の充実化が図られています。2016年4月にはデイサービスの再編期を迎え、小規模型通所介護が地域密着型サービスへと移行する動きが加速している傾向があります。
一億総活躍社会を実現させるために生産性の向上が重要視されていますが、介護サービスに利益を追求する考え方に違和感を抱きながら従事しているスタッフは少なくありません。政府・経営者・実務に携わっているスタッフ間で通所介護に対する考え方に大きな差異があり、様々な課題が噴出しています。
介護スタッフは遣り甲斐の大きい仕事である一方では、低賃金や過酷な労働条件の職種というイメージが定着しており、慢性的な人材不足が問題となっています。増え続けることが予見されている要介護高齢者を限られた人材で支える必要性が高まる中で、政府は効果的な介護サービスの模索を積極的に推進しています。一般的な要介護高齢者を対象とする通所介護施設は比較的多いものの、認知症周辺症状の緩和・改善を目的とするプログラムを充実させている通所介護施設は少ないです。認知症高齢者の割合の増加を踏まえ、認知症通所介護の在り方を再検討する気運が高まっています。
更に、事業者の課題として、各職種が専門性を発揮できる事業の展開、地域のニーズに柔軟に対応できる体制の確立が挙げられています。また、宿泊サービスやカジノ型プログラムの導入など、多種多様な取り組みによって通所介護サービスの質を高めようとする動きがあり、通所介護事業の今後の展望を見逃せません。